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大学生涯学習の理念とセンターの機能・役割

生涯学習政策史と生涯学習教育研究センター
 「生涯学習」という用語は、学校中心の公教育の考え方から、学校教育と社会教育を統合する新しい公教育概念として1965年にユネスコで提案されたものです。地域社会に開かれ、生活に根ざす学校教育への転換をめざして当初は「生涯教育」として広められましたが、近年では学習者の主体性を強調するために「生涯学習」という言い方が一般化するようになり、世界各国で制度化が進んでいます。

 学校が地域社会に開かれ、地域生活に根ざす教育の場に転換することは、産業構造の転換にともない現代社会を牽引する有力勢力になってきた第3次産業からの要請です。第2次産業社会が社会の集権化を推し進めるために全国一律の基準化・規格化された「国による集中的管理社会」を作っていったのに対して、第3次産業社会は社会の分権化を推し進めるために個性化・多様化・流動化した「地域社会による自己管理社会」を求めつつあります。
 
 「経済効率性」を優先する第2次産業社会では、効率的集中管理システムが成熟するにつれ、社会のあらゆる組織・機関の巨大化が際限なく進められてきました。その結果、集中的管理システムの強化がますます必要となり、社会の基準化・規格化が避けられなくなり、人間に対しても基準化・規格化を求めるようになってきました。その結果、大学受験体制を軸とする現在の学校教育システムが、第2次産業の人材要請に応えるために整備されてきたのです。学校は国による社会の管理の中枢を担うものとして整備され、大学はとくにその中核としての役割を果たしてきました。
 ところが「個々人の私生活性」を優先する第3次産業社会は、個々人の私生活に基盤を置き、国を越えた地球規模のネットワークを際限なく推し進めようとしていて、こうしたあまりに巨大化した社会においては、これまでの中央集中型管理方式ではもはや社会全体を維持・管理することが難しくなり、地域社会ごとの自己管理方式が求められるようになっています。
 教育の世界においても「地域社会の実情に合致した教育」や「個々の学生の個性に合ったきめ細かな教育指導」が求められるようになっていて、第2次産業社会の、効率的集中管理システムでは、こうした個性化教育の実現が難しくなっています。大学においても国立大学の法人化に示されるように、個々の大学の実情に応じた教育目標の設定や教育制度の再編が求められるようになってきました。
 
 現代社会では、「多様性・流動性・開放性・自己管理性」などが組織や機関の維持・発展のために不可欠になっていて、こうした組織や機関を担う個々人に対しては「自立性・個性・公共性・連携力」といった能力が求められようとしています。こうした能力の育成のためには「 ① 社会の中で責任持って役割を果たしていくことができる個性」の育成や「 ②価値観の異なる人々と幅広い連携を創造していく高い公共性」の形成をめざす生涯学習型教育が重要になっています。
 大学生涯学習は、地域社会と密接な連携を図る大学教育を目指し、地域社会でなされるべき教育活動と大学が学内で責任もつべき教育活動の両者を連携する地域生涯学習システムを推進しています。
 
 大学における生涯学習の事業は「大学公開講座」として推進されています。今日では、大学生数の減少による、授業料収入の減少のため、自己財源を新たに開発する観点から大学公開講座に対する期待が高まっています。また高等教育進学率が5割を越える今日、膨大な数の大学卒業生に対する卒業後教育(専門的大学継続教育)を保障することが大学の責務になっています。また長崎県においては、離島などの地理的条件に対応した教育として、 e-learningシステムを活用した、ITによる遠隔教育や、社会人のライフスタイルに対応したパートタイムの単位制教育などの生涯学習型大学教育が重要になっています。さらに団塊世代の大量退職に対応した第2の人生支援事業としての地域活性化のための地域づくりのために大学生涯学習が必要です。
 そのためには、地域社会と密接な連携を図る生涯学習システムの整備が求められます。言い換えるならば、地域社会でなされるべき教育活動と大学が責任もつべき教育活動を明確にし、両者の連携の中で展開される地域生涯学習システムの実現が求められているのです。





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