公開講座は「大学などで、一般社会人にも開放した講座、大学拡張講座」と広辞苑により定義され、公開講座を主催することは大学人の使命であると言われている。平成16年の国立大学法人化にむけて、公開講座の役割は益々高まりつつある。
長崎大学医学部保健学科理学療法専攻臨床理学療法学講座、千住研究室に於いても、平成元年度より研究室の主要研究課題である「慢性呼吸不全のリハビリテーション」に的を絞り、日々の研究成果の開示と大学以外の講師を召還して新しい研究課題を得る目的で毎年9月の第1週に開催している。今年度で総開催数は17回になり今では、わが国の呼吸リハビリテーションの分野では全国的に名の知られた公開講座に成長してきた。本公開講座は、呼吸リハビリテーションに関する基本的な知識と技術の習得ならびに最近の呼吸リハビリテーションに関する話題提供である。当初は、定員70名で長崎大学医療技術短期大学部において開催していた。受講生のニーズに応じて平成4、5年度は熊本の地域医療センターを会場に、平成6~11年度は湯布院ハイツを会場に計8回開催し、平成12年度より長崎市内のホテルを借り上げて、合宿研修のスタイルで実施している。その間、受講生の定員は200名に増員し、今日まで2000名以上の医師、看護師、理学療法士など多くの医療関係者が本公開講座の修了生となっている。また平成10年度より3学会(日本胸部外科学会、日本呼吸器学会、日本麻酔学会)合同呼吸療法士認定委員会より「3学会合同呼吸法認定士資格更新に関する呼吸療法講習会」に認定されて益々、本講座に対する社会的ニーズは高まり、内容に関しても質の高いレベルが求められるようになってきた。
文部科学省は公開講座の目的の一つに、社会人を対象にしたリカレント教育を挙げているが、本講座はまさに、医療関係者を対象としたリカレント教育であり、呼吸リハビリテーションに関するupdateな内容を多くの医療関係者に提供している。しかし、平成13年度より長崎大学公開講座の形態は維持しつつも、生涯学習教育研究センターから独立し、研究室のみで主催せざるを得ない状況になった。その理由は、常に本講座が定員の100%以上満たしているにも関わらず、公開講座の予算が受講料の約2/3程度に毎年圧縮され、運営面で経済的に破綻をしたからである。本講座の特徴は、受講生のニーズに応えるために臨床現場で即実践できるように多くの演習を取り入れている。そのために実習助手が少なくとも15~20名の受講生に1名が必要であり、少なくとも200名が対象であれば、10~13人の実習助手が必要である。その実習生は静岡、名古屋、広島、沖縄および福岡など研究室の卒業生の協力を得なければ実施することができない。また、この講座が3学会の認定講座として質を維持するためには200ページ以上の講義資料集の作成が必要であり、その作成にも多大な時間と費用が必要である。これらは全て交通費、宿泊費のみで研究生(卒業生を含む)の善意によって支えられてきた。このままでは開催困難と、当時の事務長をはじめとする多くの事務が毎年本部と交渉し、追加予算を頂いてきたが、さすがに3年以上連続してこのような状況が続けば、これ以上事務の方々にご迷惑をかけることができなくなり、平成14年度より生涯学習教育研究センターから独立して開催することになった。その理由は文部科学省の後援でなくなれば、受講料が満額運営費に活用され、さらに長崎コンベンション協会の資金的援助を受けることが可能になり、飛躍的に公開講座の運営が容易になる。
公開講座の運営に関して、各主催者は毎年会議で、受講費の無料化または受講料の受講生への還元など提案されてきたが、その解決策が出されないまま今日に至り、多くの教官が公開講座の開催を断念せざるを得ない現状となっている。長崎大学医学部保健学科の前身で長崎大学医療技術短期大学部においても学部としては最も多い年に7講座を主催した時代があった。しかし今では、年間1講座を維持するのがやっとの現状である。
平成16年度の国立大学法人化は、この永年の公開講座の問題を根本的に見直す好機である。生涯学習教育研究センターの活躍を期待している。 |